2016年08月27日
ANGEL BREAKER TOUR カウントダウン
夏の終わり。ギグ。ツアーまでわずか1週間、秒読み段階に入る。そしてその前にツアー直前でのイベント、明晩大阪で。
夏の終わり。午前。バルコニーに転がって、全身に太陽を浴びる。そして肌が焼ける感覚に意識を集中する。その感覚は皮膚を通り抜け、体内へゆっくりと落ちて行く。そしてそれが、心の中で燻る思いを燃やし尽くしてくれる。山積みになった問題、そういった現実の何かが実際に変わるわけじゃない。ただそれでも変わった気分になる。それが日々の力に変わる。
夏の終わり。楽曲。人前に立って初めて音楽を演奏したのが、高校3年の文化祭。担当は歌ではなく、ベースだったが、プレイしたカバー曲の中にキャロルの歌があった。その時の俺には、まだちゃんとしたバンドを組む事すら、遥か彼方の夢物語だった。もしその時の俺が今の俺を知る事が出来たら、何を思い感じるだろう?またもし今の俺がその時の俺と会話出来たら、何を伝え話すだろう?
そしてそれから40回もの夏を経験して来た。今年は都知事問題やイギリスのユーロ離脱、立て続けのテロにクーデター、かと思えばポケモンなどなどと騒めきまくりの夏だったが、そんな世間とは無縁かのように、俺はひたすら喉のリハビリに明け暮れる日々だった。
たかが人生、されど人生。だが所詮人生。俺が軽く考えていた所為もあるが、予想以上に声の復活に手こずっている。7月半ばに予定していたセルフカバーのレコーディングは、ひとまずツアー後にズラす事にした。ドクター曰くは「術後も快調、医学的には健康そのもの。クラシックの歌手なら何の問題もない、あとはリハビリあるのみです」。だけど先生......すまないがそうじゃなく......たぶん不健康な歌を......俺は演ってるんだな......。
夏の終わり。時々、自分に思う。人生を舐めるんじゃないと。逆境好きにもほどがあると。もちろんいつもそんなつもりはなく、結果的にそうなるだけだからしょうがないのだが。しかしリハビリとは言え、こんなに練習した経験は長いバンド生活の中で初めてだ。ベストを尽くしているが、まだまだベストな状態とは言えない。ただ逆に言うならば、ベストを尽くしている以上、やれる事をやるだけだけしかないという事だ。
たかがパンク、されどパンク。そう、だからパンク。やるだけだ。
by HIKAGE