イベント"Punk Lives"が終わって数日、久々に熱でダウンしていた。秋ツアー後も休む間もなく、リハーサルやミュータントモンスターのレコーディング他もろもろ、かなりのオーバーワークが続いた所為だろうが、何よりもとりあえず新メンバーでの初ライブが終わって気が抜けたというのもあるかも知れない。
　そんな中で観たいと思いながらもなかなか時間が作れずに見逃していた女子バレーワールドカップ、日本戦を最後の2試合にしてやっと観れた。中学の頃にバレー部に在籍していた事もあって、実はサッカーと同じように昔から好きなんだが......とにかくこの2戦は凄い試合だった。順位は4位に終わったが、1点1点の取り合いにサッカーのPK戦を観てるかのような緊張感を感じた。スポーツとは種類は違うが、結局俺がロックに求めてるのもこういったスリリングさなんだなと思う。そこから来る感動にいつも俺は飢え、求め続けているから、こうしてまだロックし続けている。
　バンドもここまで長くやっていれば、当然その経験から完成度の高い作品を作り、そんなステージをやらなければいけない。またそうなるのがごく自然な形でもあると思う。しかしそれといま言ったスリリングさは結構両極に位置するもので、なかなか両立しない存在だ。勿論両立させようとはいつもメンバー全員試みているが......。ただあえてどちらかを選ぶとなると、いまだにスリリングさを選ぶ俺がいる。
　そんな表れが今回のイベントだった。しっかりとリハーサルをして来たにもかかわらず、始まったとたんにそんなのはお構いなしのテンションでライブ。通常ステージで俺の視界からメンバーが消える事はないが、今回はわずか25分間の間に何度もメンバーのいる場所を見失った。まあ演奏はミスも多発して褒められたもんじゃなかったが、メンバーチェンジ1発目のライブにしては俺たち的には予想以上の出来栄えだったと思う。ライブ終了後、他のバンドや関係者から絶賛されてニューギタリストの番長本人は困惑気味ではあったが。
　新たな刺客になる番長は「AIR STRIKE」というミクスチャーバンドでリーダーをやっている。SCに入った経緯はまったくの偶然で、とあるイベントで「AIR STRIKE」を観て、あまりの暴れっ振りにヤラれ惚れ込んで声を掛けたという流れだ。実はメンバーチェンジの際に、知り合いを通すでもなく、オーディションをする訳でもなく、俺自身が直接見つけて来たのは、記憶が確かならば今回が初めての事になる。自身のバンドもあるので形としては2バンドやる事になり、また年が明ければSCは35周年のタイミングなので色々とプレッシャーもあるだろうが、番長は俺のように根っからのバンドマンなので問題なくやれるだろう。
　人生という枠の中、人は年齢を重ねれば重ねるほどに、耐えがたい別れと出会う事になる。その度に振り返り、そしてそれでもまた先へ進む。幸運な事にバンドに関してはここ10年近く、周りで起きるメンバーチェンジを横目で見ながらやって来れた。ひとまずまた仕切り直しになったが、何が起きてもバンドの持つ本質は変わる事もなければ、ブレる事もない。ただその本質の上で確実に何かは変わるだろう。その変化から生まれるものが、俺を含めバンドに新しい刺激を創り出してくれるはずだ。来年は例年とは違い、年明け早々からフル回転になる。また再加速するぜ。

　by HIKAGE